FAQ

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FAQ

Q１

歯磨きに関する疑問です。私が小さい頃は横磨きは駄目で縦磨きがよろしいと教えられました。その後、縦磨きは駄目でローリング磨きがよろしいと教えられました。ところが、現在では横磨きがよろしいとの事。一体どうなっているんでしょうねぇ。(^_^;

A１

まったくおっしゃる通りです。これはある種、歯磨き方法のブームの様なものが存在したために、このような疑問が生じてしまったと考えられます。その時代時代においては決してその磨き方が間違っている訳ではないのでが、「こうすればより効率的に磨けるのではないか？」といういわば試行錯誤の結果そうなってしまった、といってもよろしいかもしれません。

ただ注意していただきたい点は、現在の横磨きは以前のやり方とは多少異なり、横に動かすストロークが5～10mmとごく少なくなっている点です。バス法、スクラッビング法などと名前が付いておりますが、このように磨くことでより歯と歯の間へ毛先を侵入させ、その部分の汚れ（歯垢）を取り除こうとする方法なのです。

また、この時使う歯ブラシの固さも重要なポイントになってきます。ちょっと前まで全盛だったローリング法は「普通」かむしろ「やや固め」くらいの歯ブラシを勧めていたと思いますが、現在主流になってきているバス法などは、逆に「やや柔らかめ」の歯ブラシを使いませんと歯茎を傷つけてしまいます。

細かいことを言いだすときりがないのですが、もう一点だけ。結局のところ歯磨きとは、歯が奇麗になりさえすればどんな方法をとろうと関係ないとも言えます。（そのために歯茎を傷つけたり、乱暴な磨き方で歯が減ってしまってはいけませんが、その意味においては決して「縦磨きがダメ」とは言い切れないのです。）

人それぞれ骨格が異なるように、歯並びや歯の大きさ、歯の質など多種多様です。そう考えると、どの磨き方が一番良い、とひとくくりにできないともいえるのです。各人にあった大きさ、固さを持つ歯ブラシで、各人の歯並びにあった磨き方をする、これに尽きると思います。

蛇足ながら付け加えます。どんな方法を取ろうとも、どう頑張っても一般的な歯磨きだけでは100％の歯垢を取ることは不可能なのです。こう言うとビックリされるかもしれませんが、普通に磨いただけでは半分近くも汚れが残ったままになっていることが多いのです。

さてどうするか？　ここで登場するのが「糸ようじ」や「歯間ブラシ」です。TVなどですでにご存じかと思いますが、これらを使ってやっと100％近い歯垢を除去できるのです。

手順としては、これらを使ってから歯ブラシをされたほうが良いでしょう。また、若いうちは歯と歯のスキマが狭いので「糸ようじ」を使い、中高年以上の方で歯のスキが広がってきた場合は「歯間ブラシ」をお勧めしております。

これら補助的清掃機具もその太さ、長さ、材質などにさまざまな種類がありますので、ただ闇雲に買ってきて使えばよい、というものではないことも付け加えさせてください。

Q２

煙草のヤニを取るのを売り物にした歯磨き粉も有りますが、ザラザラしていて歯のエナメル質まで削ってしまうのではないかと危惧してしまいます。

A２

まさにその通りなのです。歯磨粉には多かれ少なかれ研磨剤が入っているのですが、ヤニ取り用のそれは特に強力です。そこで、長期間による使用で歯が減ってしまうことは十分ありえます。

すでに歯医者さんでお聞きかもしれませんが、歯磨粉はあくまでも補助と考え、使うとしてもごく少量、極端な話、使わなくてもよいくらいです。（条件としてはキチッとブラッシングができることですが...）

Q２'

煙草の煙は直接歯茎に当たるので、歯にも悪影響を及ぼすそうですね。

A２'

最近の学会発表などでは、タバコ中のニコチン、タールなどは体の免疫力を低下させる方向に働くそうです。ということは、歯槽膿漏に代表される歯周病の患者さんが喫煙をされると、せっかく体が治そうとしているところを自ら治りを遅めてしまうことになる、ということになります。どうやらタバコは人体に百害あって一利無しと言えそうです。

Q３

損傷が激しい死体の身元判定に歯型が使われますよね。どのように行っているのでしょうか？

A３

一般的に個人を特定するには、患者さんの状況を記録してあるカルテが利用されます。よほど特殊な環境にでもない限り、この記録だけでも十分に身元確認ができるはずです。特殊な環境とは、全ての歯においてまったく同じ治療痕がある、といった状況ですが、これはほとんどありえないと言ってよいでしょう。エ～ッ、本当～!? と言う声が聞こえてきそうですので、ちょっと説明させていただきます。

人の歯は、親知らずを除いて28本、親知らずを含めると32本というのが一般的です。それら全てに治療痕がない、という場合はお手上げです（歯医者はお呼びじゃないので当然ですよね）が、一本でも治療の痕があるとすると、それは28本のうちのどの歯か、歯髄は生きているのか死んでいるのか、治した材料は何か、治した部分は噛む面なのか、歯の外側か、内側か、奥よりか、手前よりか、あるいはそれらが複合された状態なのか、などで個人を識別することができるようになるのです。

たった一本でこれだけの組み合わせが生じてくるのですから、2本以上の治療痕があればその順列組み合わせは天文学的な数になり、個人の鑑別には適する、という訳です。もちろん歯型が取ってあればさらに良いのですが、皆さん全員に歯型を取る訳ではないので、歯型のない方もやはりいらっしゃいます。

Q４

歯の治療の状態は人により千差万別との事ですが、歯の位置によって虫歯になりやすい個所というのは有るのでしょうか？

A４

あります。ごく大ざっぱに申しますと、先ず奥歯の噛む面、次に奥歯の歯と歯の間、最後に前歯、の順にだんだん広がっていくパターンが多いですね。歯周病もほとんどが奥歯からやられていきます。親知らずは別にして、虫歯などで最初に抜かなければならなくなってしまう歯の代表は、６歳臼歯と言われる（６歳ごろにはえるのでそう言います、第一大臼歯の事）、正中の歯から数えて６番目に位置する奥歯です。

これらの原因は、なんといっても歯ブラシがうまくできていないからに他なりません（特に奥歯は磨きにくい為）。

しかし、以上は一般論であり、一口に奥歯と言っても上下左右に小臼歯、大臼歯合わせて４本ずつ（計16本）あるうちのどれから先にやられていくかは、やはり人各々です。

Q５

私はリステリンというのを愛用しているのですが（どちらかというと覚醒剤として(^^;）、あれも多少は歯のためには良いのでしょうか？

A５

患者さんのなかには、よく「私は水歯磨き（リステリンなど）を使っているので安心だ」と思われている方がいらっしゃいますが、ゆすぐだけで歯がキレイになる歯磨きは残念ながらまだありません。

ゆすぐことにより、歯垢を取れ易くするものはあります。いずれにしても、歯垢はブラッシングをして機械的に取り除かなければなりません。

Q６

ちかごろでは通販でも歯石を除去するステンレス製の先の尖った金具（先の形状が異なる金具が数種類セットになっている）を売っています。私はちょっと興味があるのですが、素人が使っても大丈夫なのかちょっと不安です。却って歯に傷を付けてしまったらまずいですからね。ｳｰﾑ　(--;

A6

たしかにおっしゃる通りです。どこの部位に、どの器具を、どんなふうに使うのかが分かってお使いになるのでしたらよろしいかと存じますが、一般的には難しいのではないでしょうか。

歯自体はそれほどたやすく傷付きませんが、むしろ歯茎は簡単に傷つきます。逆に雑菌を歯と歯茎の境にある歯周ポケットというところに押し込んでしまうと、歯周病を悪化させてしまうことにもなりかねないので、私としてはあまりお勧めできかねる、といったところです。

Q７

「電動歯ブラシ」っていうのは如何な物なんでしょう？

A７

否定はしません。と申しますのも、これも各社各様で、大きさ、動き方など様々だからです。

自分にあったものをお使いなら手で磨くより早く奇麗にすることも可能ですが、奥歯の細かい汚れまでキチッと磨けているかどうかは微妙なところ。手を使ったほうが細かなコントロールができるので、むしろ手で磨いたほうが良い事も多いのです。要するに適材適所ですね。

もともと電動歯ブラシ自体、身障者用に開発された経緯があります。悪い意味ではなく、自分はどうも歯ブラシの動かし方がうまくできない、と感じていらっしゃる方には良い選択枝になる可能性があります。

Q８

除石はどれくらいの期間に一度を目安にすれば良いのでしょう？

A８

一般的には一年に一度なのですが、歯石の付きやすいに方は半年に一度をお勧めしております。

Q９

人によって歯石の付きやすい体質というのもあるのですか。やはり、唾液とかの影響なのかしらん。

A９

まさにおっしゃる通りでございます。やはり、唾液に含まれるカルシウム成分に因るところが大きいと思われます。これを裏付ける事として、一般的に歯石は唾液腺の開口部に付着しやすいことが知られております。すなわち、上顎は臼歯部頬側面に、下顎は前歯部舌側面に沈着しやすいのです。

ということは、これらの部分に注意して歯磨きをすればより歯石を付きにくくすることができる、ということにもつながるのですね。（全部注意して磨いていただければより良いのはもちろんですが。）

Q10

食生活と歯石の付着とは何か因果関係が有りそうですね。

A10

これはたしかにあります。歯石の付きやすさは、唾液にカルシウムが多いかどうかという体質のみならず、食べ物の嗜好も大きく影響します（その食物にカルシウムが多く含まれるかどうかは別にして）。

例えば、固い食物（豆、煎餅など）や繊維質の食物（タクアン、リンゴなど）を好んで召し上がる方は、たとえ唾液にカルシウムが多かろうと、食べ物自体に自浄作用があるので歯垢や歯石は付きにくいのです。

この場合の自浄作用とは、食べ物が歯にこすれるために歯垢がこそぎ取られてしまうことを指します（食べ物自体が歯ブラシの役目をはたす）。

反対に、柔らかいものやベタベタした食物を好まれる方は、やはり歯垢、歯石の沈着が多くなります（そのぶん余計に歯を磨かなくてはなりません）。

食物の嗜好は人各々ですので、そこまではなかなか立ち入れないのが現状です。
食べ物の嗜好で歯垢の付きやすさが変わる（なんちゃって...）。

Q11

お酒はアルコール消毒にならない？

A11

歯磨きは、一日の中では夜が最も大事です。
夜お酒を飲んで、面倒臭いからといってそのままおやすみになってしまう方はいませんか？
実はお酒のアルコールで消毒したから大丈夫、というのは全くあてになりません。
なぜなら、仮にお酒のアルコールでばい菌が死んだとしても、それはプラークの極表層の部分にしか過ぎないからです。プラークの中にいるばい菌はしっかり生きていて、着々と外に酸性毒素を出して虫歯を作っていくのです。面倒臭がらずに毎日しっかり歯ブラシをする習慣を作ることが大事です。
一旦習慣になってしまうと、歯磨きをしないで寝ようなんて気持ち悪くて出来なくなるはずですよ（笑）。

Q12

えーと、できることなら歯磨きしたくないです。
単調な作業を延々と（しかも肉眼で確認しにくく）効果も今一つわかりにくい。
これは苦痛としかいい様がありません。

A12

誠にごもっともです。正直な所、私もそう思います。
しかし、これでかたずけてしまっては実もふたもありませんので、少々付け加えます。現代人において一生自分の歯を使って生活していこうとするなら、歯磨きする事は必要不可欠なので、日々歯磨きをせざるを得ないのが現状です。

Q13

血液中に入っているいわゆる白血球が虫歯菌を退治するようなことはないのでしょうか？

A13

あります。がしかし、お口の中の細菌数はその数、およそ数千億とも言われています。
（歯磨きをしてその数が1/1000になったとしても、まだ一億匹もいるのですね！）
もちろん白血球などは歯茎などから体に入ってくる細菌などを片っ端からやっつけてくれてはいるのですが、いかんせんその細菌数が多すぎる、というのがほとんどの患者さんの現状です。つまり体の免疫力を超える数の細菌に歯茎がさらされて、歯茎の腫れた状態が歯周病そのものなのです。細菌（そのほとんどがプラークの中にいる）の数が体の免疫力以下なら、歯周病は発病しません。このメカニズムは他の病原菌により発病する一般的な病気と全く同じです。

Q14

ハグキのマッサージもそうですが、局所的に悪い部分が現れているのは、体のトータル的な健康状態が不健康に向かって進みつつある状態であり、歯だけ治してもまた同じように悪くなると思うのですが。

A14

これはまさしくおっしゃる通りです！！
普段は免疫力で歯茎の病気を押さえ込んでいる人が、一旦カゼなどひいて体調を崩すと、一気に歯周病が悪化した状態になる場合が往々にしてあります。歯磨きをして、口中の細菌数を減らすのはもちろんですが、それでも取りきれていない細菌が悪さをしないように、普段からの健康管理を怠る事なく免疫力を高める事がが非常に重要です。
つまりは栄養のバランス、十分な睡眠、規則正しい生活に気をつける、など結局はすべての病気の予防と同様なのですね。

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